内田樹『他者と死者』(300字読書日記vol.13)

他者と死者―ラカンによるレヴィナス海鳥社、2004年10月、2500円+税
ISBN:4874154980

ラカンレヴィナスを同時に論じるという、とても刺激的な、というか、おいおいどこに向かうんだ、という期待をもたせてくれる1冊。買ったはいいが、なかなか決心がつかず放っておいたのだが、予想どおり難解な本だった。
他者とはなにかを考えながら、神や法などいかなるものにも基づかない「善」を行える人間のあり方を説き、至るところ正義の名の下に暴力が行使される現在、学ぶところは多い。
ただ、部分的に分かった気になってはいるが、多くは分からないというのが正直な感想。もともと難解な主題に対して、内田節でいくらか平易になってはいても(おそらく)、根本的な知的体力不足は如何ともしがたく、悔しいので再読を決心し今回は読了。