山本理顕『[新編]住居論』(300字読書日記vol.10)

新編 住居論 (平凡社ライブラリー)
平凡社ライブラリー平凡社)、2004年3月、1,500円+税
ISBN:4582764924

山本理顕はぶれていない、そう思う。先日、本書と並行して雑誌「d/sign」に掲載されている山本理顕の論文を読んだが、今から30年も前に書かれた本書と比べて、根本のところでぶれていないなあ、というのが感想である。それは、たとえば「家族」という形態と建築の関係だったり、抽象空間への志向だったり、である。山本の家族観あるいはその思想に裏付けられて建てられる建物そのものへの共感(これらはもしかすると嗜好の問題かも)とは別に、一貫したスタイルと行為にとても感銘を受ける。それは同時に、山本が抱えた問題が30年たってもかわらず現存するということにもなるのだが。「d/sign」で山本は楽観的だと述べている。はたして