長山靖生『若者はなぜ「決められない」か』(300字読書日記vol.6)

若者はなぜ「決められない」か (ちくま新書)
ちくま新書筑摩書房)、2003年9月、720円+税
ISBN:4480061290


身も蓋もないような、そんな話だった。
若者が決められない。社会だ、教育だ、家庭だと、いろいろと要素から、これだと決められない若者のメンタリティを解説していて、それはそれでおもしろいのだが、ただ、結局は最後に自分の好きなことをする/決定するために必要なのは、それを実現可能にする財力だったりするといった結論は、そうなんだけど……。
村上龍の『13歳のハローワーク』が話題になったとき、紙面で弁護士が22歳の就職に悩む学生の相談に答えるさいにその本を使ったことに激怒した友人がいたが、彼の感じた怒りと根底で通じる、無神経さに近い感じがこの本からもする。少なくとも決められないことに悩む「若者」が読むべき本では、ない。