酒井順子『負け犬の遠吠え』(300字読書日記vol.5)

負け犬の遠吠え
講談社、2003年10月、1400円+税
ISBN:4062121182


人生、勝っていようが負けていようがやっぱり大差がない。読み終わってなんとも「なげやり」の結論に行き着いた。
未婚、子ナシ、30代以上を基準に女性を勝ち犬/負け犬の2つに分けるという大胆な手法に賛否の嵐が吹き荒れたことは記憶に新しいが、たしかに読んでみると何か言いたいのもわかる。隣の芝生は青々しているが、自分の芝生もけっこう気に入っている。だから放って置いてくれてもいいと思うよ、という感じの内容は、一時期はやった自分探しのメンタリティをもちながらも超現実主義でもある両陣営の人たちから多くの共感を得たのだろう。
思いの丈をひととおりぶちまけたら、あとは元の生活に戻っていける。じつに無害でためになる本、かな。