村上春樹『海辺のカフカ』(300字読書日記vol.11)

海辺のカフカ〈下〉海辺のカフカ〈上〉新潮社、2002年9月、1,600円+税
上巻ISBN:4103534133/下巻ISBN:4103534141

久しぶりの小説、しかも村上春樹ということでいまさらながら読んでみた。どんな感じがするかと期待したが、意外とふつう。というか、これまでの小説とあんまり変わっていない、いや、むしろ昔に戻っているような、そんな気がした。
束が薄いのでページ数が少ないのかと思えばそうでもなく、上下刊で結構の量。ふつうの紙では本が厚すぎて携帯性に不便な事を配慮されてか、透けるような薄い紙。しかし、おかげでとても読みづらい。
で、内容だが、可もなく不可もなく村上春樹だったと思う。きっと彼はこれからもこの路線だろう。ただ、最近死を扱った小説がいろいろと売れてはいるが、どれも生者のナルシスティックな死の悼み方なのと比べると、やはりさすがか。