五十嵐太郎『過防備都市』(300字読書日記vol.9)

過防備都市 (中公新書ラクレ)
中公新書ラクレ中央公論新社)、2004年7月、760円+税
ISBN:4121501403


最近、デザイン的に凝っているベンチをよく見かける。丸かったり、ひじ置きがついていたり、パイプ状だったり、ユニークである。
もちろんこれらは都市景観を意図したデザインではない。それはいわば排除の思想のデザインである。
都市であれどこであれ、普通の生活をすることが安全でなくなったいま、個人レベルでは日常への不安が増大し、その気持ちを「すくいとる」かのように生活のあらゆるレベルにまで管理・監視の網をしく行政。本来ならば反発しあうはずの管理する側/される側が相互に関係が深める傾向にあることをあらためてわかりやすく教えてくれる。公園のベンチで寝転がって本を読めなくなるまであと何年だろう、と暗い気持ちになる。