リチャード・ロジャースほか『都市、この小さな惑星の』

都市、この小さな惑星の
野城智也/手塚貴晴/和田淳
鹿島出版会、2002年5月、2800円+税
ISBN:4306044262

先日、展望台に昇った。360度の眺望が開けたそこから見えた都市は、いったいどこまで続くのかと思うほどの建物群が連なっていた。境界を消滅させ、近隣地域をその内に取り込んでいく東京。
もっとも変化は水平だけでなく、あちこちでは大型建築工事が進んでいる。その変化の激動ぶりは無秩序と言わざるをえない、1つの理念を除いて。自己主張のみの建物は、地域や自然、社会を破壊しながら、ただその理念の実現だけに忠実である(そのさいたるものでこんなことを考えるのもなんだが)。
本書は、漠とした都市の未来に希望を与えてくれる。そのプランは困難だろうが、不可能、ではない。何ができるか/するべきか、を考えさせる良書である。